想像してみよう。

想像することから科学は始まる。 


想像してみよう。

科学技術となめらかにつながったわたしたち人間の、生命の、そして地球の姿を。


そして、対話してみよう。

対話による想像の交差から、たくさんの倫理の輪郭がみえてくるだろう。


「ほんとうに~はすべきなのか/すべきでないのか?」

「ほんとうに~はよいのか/わるいのか?」


率直に問いかけ、みえてきた倫理の輪郭に触れてみよう。


倫理の輪郭に触れ、立ちすくんでもひるんでも、問いを繰り返し続けてみよう。

その営みこそ、新しい想像と創造を生み出す源なのだから。

* * * 研究倫理を刺激的かつ根本的に考えるためのワークショップ * * *

※全てのワークショップは「グラフィックレコーディング」として記録され、このサイト上でも公開しています。

【NEW!】

ワークショップのグラフィックレコードを展示公開しています。


オンライン公開した全ての回で作成されたグラフィックレコード、更に3回の振り返りとして開催した第4回ワークショップでまとめられたグラフィックレコードを現在展示公開しています。


展示場所:柏キャンパス 環境棟1階 ギャラリー(正面入り口すぐ左手)

展示期間:2022年4月15日(金)まで ※夕方には削除します。


期間内に現地にお越しいただけない方へは別ページで全てのグラフックレコードをご紹介しています。:https://rinri.edu.k.u-tokyo.ac.jp/グラフィックレコーディング

2022年2月14日()16:30~開催決定!

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2022年1月14日(金)13:30~開催決定!

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12月17日(金)15:30~開催決定!

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1.戸惑いとためらいの共有から、想像の交差へ

 わたしたちの日常は科学技術に埋め込まれ、なめらかにつながっています。

 たとえば、食卓の上にはゲノム編集や物理化学によって新しく生み出された食品が並び、わたしたちの身体になっています。また、一からゲノムを人工的に組んだ合成生物も地球上の生態系に加わり、わたしたちの環境をかたちづくろうとしています。

 バイオセンシングによって、自分がどのような体調やストレスのなかにあるのか、運動不足なのかどうなのか手軽に知ることができます。腕につけるデバイスで日々、健康管理を行っている方もいるでしょう。デジタルコミュニケーションは当たり前になり、仮想空間と日常空間の行き来も頻繁になりました。わたしたちの感覚を拡張する科学技術はいっそう進み、触覚を利用した新しいコミュニケーションも模索されようとしています。

 さらに、拡張された身体や五感のもと、人工物や情報となめらかにつながった都市も、大きくその姿を変えようとしています。情報が基盤インフラとなる都市が形成されつつある現在において、これまでの都市像とは異なる都市の姿、都市らしさとは何かが改めて問われているのです。

 

 当然のことながら、こうした科学技術の研究には、いつでも戸惑いやためらい、疑問がつきまといます。研究者として立ちすくんでしまうことも少なくありません。

 たとえば、ゲノム編集をされた生きものが栽培品種として広がり、合成生物が加わって微生物の世界から変容していく地球の姿をどう考えればよいのでしょうか。わたしたちを支えてきた進化というプロセスを、わたしたちはどのように変えようとしているのでしょうか。あるいは、これまでの地球の進化系統樹を変えないことを基準にするならば、どの程度、その地球に戻そうと試みるべきなのでしょうか。

 たとえば、拡張された身体や感覚のなかで、わたしたちの身体性、人間であることはどう変わっていこうとしているのでしょうか。そのとき、健康とは何を意味するのでしょう。わたしたちの安寧とは、幸福とは、何を基準にすればよいのでしょうか。サイボーグとなりつつある人間の身体、身体を超えて拡張される感覚群は、人間であるという基準自体をどう変えようとしているのでしょう。あるいは、人間らしさはどのようにあれば保全できると考えるべきなのでしょうか。


 地球や人間といった大きな枠組みが揺らいでいること、科学技術によってその揺らぎが一層大きくなっていることは、誰よりも科学技術を研究する人びとが経験しています。それゆえに研究者は戸惑い、立ちすくみ、問いを模索しようとします。同時に、「のぞましくない」「踏み越えるべきではない」ものについて、異なる立場から議論をおこなうことの重要性を日々、感じています。研究者だけでは答えの模索もできませんし(専門知と科学的解の限界)、社会に開いても答えが明確にあるわけでも、究極的な解にたどりつけるわけでもない、という難しい問いばかりだからです。


 さらに、こうした新しい科学技術を研究し実装化するにあたっては、その制度化、摂取速度の違いが、新しい分断や階層性、社会的スティグマを生み出してしまうこと、データ化される対象との新しい力関係とその偏在を生み出してしまうことも、これまでの歴史を振り返ると明らかです。

 そのため、研究を遂行する上での、そしてその科学技術が社会に浸透していくプロセスとその結果の透明性や公正性、包摂性、当事者性への配慮も欠かせません。


 想像×科学×倫理ワークショップは、ざっくばらんに研究者同士で、戸惑いやためらい、疑問を共有することからはじめたいと思います。研究を遂行するにあたって、人間についての、地球についての、社会についての、どのような想像をわたしたちはしているのか。「ほんとうに~すべきなのか/すべきでないのか?」「ほんとうに~はよいのか/悪いのか?」この問いを繰り返し、倫理の輪郭に触れることは、実は新たな可能性を研究者に開きます。


 倫理的思考は、想像と創造を生み出してきた営みでもあるからです。


 研究倫理は面倒くさい。ルーティン化した手続きとしても、あるいは問いが出ないのに頭の隅を離れず、模索しなければいけない問題としても、やっぱり面倒くさい。このワークショップでは、「面倒だけど面白い」研究倫理ワークショップの実践を試みます。

.「想像×科学×倫理」ワークショップ


日時: 2021年12月17日(金) 15:30~17:00

参加 ライブ / オンライン配信(申込フォーム https://forms.gle/8kHEy4zjHMQKGFTF8

登壇者(敬称略):

  • 三谷啓志 東京大学 特命教授(放射線生物学・ゲノム科学

  • 松永幸大 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻 教授(合成生物学・生命動態学

コーディネータ:

  • 福永真弓 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 社会文化環境学専攻 准教授(環境倫理・環境社会学)

 合成生物学は地球になにをもたらそうとしているのでしょうか。人為選択と人為創造による進化は、ゲノム編集技術や合成生物学の発展と広がりによって、かつてない速度で変容しています。すでに進化の系統樹の先には、家畜化され、ゲノム編集によって生まれた新しい生きものがたくさんぶらさがっています。その系統樹の外側で、人の手によって生み出された合成生物が地球の生態系の一部に組み込まれようとしているのです。さらに、気候変動など人間活動による地球の変容は、生命とその進化プロセスをとりまく環境の大きな変化をもたらしています。

 もはやこれまでの進化の系統樹が想定してきたオリジナルの地球Aにわたしたちは住んではいない、とも言えるでしょう。住んでいるのは地球B、かつての進化の系統樹ではない新しい進化プロセスを経験している別の相貌の地球なのかもしれないのです。

 合成生物学がもたらす地球の未来と、現実となった新しい(?)進化的プロセスがどこに向かうのでしょうか。研究者がもつ社会的想像力は、①現在の研究を進めるうえでのイノベーティブな飛躍をもたらす側面と、②たとえ基礎研究であってもその後の社会的影響力を考えなければならないときの「もしもの」未来を考える柱となる側面があります。この二つの側面から、わたしたちの地球の行く末とその未来について議論してみましょう。


日時: 2022年1月14日(金) 13:30~15:00

参加 ライブ / オンライン配信(申込フォーム https://forms.gle/JxiKWBjMGq5g67bH7

登壇者(敬称略):

  • 篠田裕之 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻 教授(実世界情報システム・触覚インタラクション)

  • 割澤伸一 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 人間環境学専攻 教授(人間環境情報学

  • 松尾真紀子 東京大学 公共政策大学院 特任准教授(科学技術・リスクガバナンス)

コーディネータ:

  • 福永真弓 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 社会文化環境学専攻 准教授(環境倫理・環境社会学)

 人間はどこまで拡張されようとしているのでしょうか。

 治療や予防医学、ひいては能力や性質の改善をめざして人間の心身に介入するエンハンスメントは非常に身近なものとなりました。医学・生理学的な心身への介入に加えて、バイオセンシングや感覚の技術的拡張など、情報科学やデバイス開発の進展による工学的な心身への介入もいっそう進んでいます。これまでエンハンスメント志向は、より強く、より健康で、より優秀に、より美しく、より「完全な人間であること」を目指す言葉で語られてきました。しかしながら、昨今の科学技術は、人間を拡張し、「人間であること」それ自体を物理的・生理学的に飛び越えることを可能にし(ポストヒューマン)、エンハンスメント志向を語る言葉自体、「人間であるとは何を意味するのか、そもそも人間とはどのような存在であるのか」という問いとともに手探りされなければならない状況にあります。

 では、人間の拡張を可能にする科学技術を開発し、実装しようとする立場の研究者たちは、どのようにこの問いを手探りしているのでしょうか。第2回は、人間が自己と世界を理解するため、日常的に駆動している感覚の拡張を試みている二人の研究者と、科学技術の実装の手前でリスクガバナンスについて思考する研究者の3人の対話から、人間拡張の科学技術が垣間見せる「人間であること」の輪郭とその揺れについて考えてみたいと思います。議論されるのは、バイオセンシングによるメンタルヘルスケアの拡充を目指し、共感性を涵養するための科学技術であり、もっとも基本的な人間の感覚でありながら近代において眠る感覚であり続けてきた触覚をコミュニケーションに拓く科学技術です。これらの科学技術があぶりだす「人間であること」の揺らぎと新たな人間の未来像について、対話から考えてみましょう。


日時: 2022年02月14日(月) 16:30~18:00

参加: ライブ / オンライン配信 (申込フォーム https://forms.gle/rkuN3tyJSp8XxHqv6

登壇者(敬称略):

  • 出口敦 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 研究科長社会文化環境学専攻 教授(都市計画・都市デザイン学)

  • 瀬崎薫 東京大学 空間情報科学研究センター センター⻑ / 大学院新領域創成科学研究科 社会文化環境学専攻 教授(通信・ネットワーク工学)

  • 杉山将 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻 教授 / 理化学研究所 革新知能統合研究センター センター長(機械学習)

コーディネータ:

  • 福永真弓 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 社会文化環境学専攻 准教授(環境倫理・環境社会学)

 情報を扱う技術が倫理の対象になる時代から、データそのものが倫理の対象となる時代がやってきました。

 データ倫理は、データ(とる・つくる)、アルゴリズム、実践・実装の3つが言及されます(Floridi and Taddeo 2016)。データをどのように対象からとり、つくるのでしょうか。データ観測のための技術進展によって、日々わたしたちは、提供しているつもりのないデータを提供し(監視カメラ、買い物データ、ネット検索など)、データ化した「わたし」が社会に散らばっています。そのデータを集め、処理し、意味あるものに組み立てるアルゴリズムはブラックボックス化しやすいものです(cf. 顔認証システムと人種差別)。そして、こうしたデータからえた分析から、社会を動かすプログラミングを社会にうめこむ実践・実装も絶え間なく行われています。そして、データそれ自体もまったく形を変えているのです。

 こうしたデータがつくる社会はいったい、どこにいこうとしているのでしょうか。データを人間から、都市からとる、つくる、うめこむという研究を行っている研究者に対話してもらい、データが形成する社会と人間の新しい形について議論していきます。

 特に今回は、まちづくり(人をデータ化する、応用する、自然をデータにする)のためのデータをとる・つくる・うめこんでいく際の、ディストピア・ユートピアの振れ幅について考えながら議論を進めてみましょう。

関係者によるまとめのセッション 

セッションの公開は未定、グラフィックレコーディング本ウェブサイト上で掲載


登壇者(敬称略):

  • 出口敦  東京大学 大学院新領域創成科学研究科 研究科長 社会文化環境学専攻 教授(都市計画・都市デザイン学)

  • 浅井潔  東京大学 大学院新領域創成科学研究科 副研究科長 メディカル情報生命専攻 教授(生命科学情報群・ゲノム情報解析)「想像×科学×倫理」ワークショップ実行委員長

  • 徳永朋祥 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 副研究科長 環境システム学専攻 教授(地圏環境学・環境システム学)

  • 篠田裕之 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 基盤系長 複雑理工学専攻 教授(実世界情報システム・触覚インタラクション)

  • 松尾真紀子 東京大学 公共政策大学院 特任准教授(科学技術・リスクガバナンス)

  • 三谷啓志 東京大学 特命教授 (放射線生物学・ゲノム科学)

コーディネータ:

  • 福永真弓 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 社会文化環境学専攻 准教授(環境倫理・環境社会学)


 これまでの議論を踏まえ、コメンテーターも迎えてラップアップを行う。グラレコを用いながら、これまでの議論から「想像をするための倫理」について考える。同時に、過去のダークな未来予想図が明るい未来像よりもリアリティをもつという現実にも触れつつ、居心地の悪さ・後ろめたさ・嫌悪など負の感情を呼び起こす未来を想像するという倫理的手法について考える。

グラフィックカタリスト・ビオトープ(Graphic Catalyst Biotope = GCB)

​「グラフィックレコーディング」とは、会議やカンファレンス、ワークショップなど、さまざまな立場の人たちが集まる場所で行われる議論や対話をリアルタイムにグラフィックで可視化する手法です。

私たちは「グラフィックレコーディングを手段として使って『場』をデザインする」ことが重要と考え、「グラフィックカタリスト(カタリスト=触媒)」という肩書をつけました。

「描くこと」で参加者同士や主催者を含む「場」を活性化させ、新たなつながりや発見を生み出す触媒となるために、私たちは活動しています。

松本 花澄

MATSUMOTO Kasumi

​人間中心設計専門家/グラフィックカタリスト。

DXデザイナーとして企業変革のデザインに従事。

佐久間 彩記

SAKUMA Ayaki

​​新規事業創出や組織変革などのサービスデザインに取り組み、グラフィックカタリストとしても活動中。

ポスター

第1回:「進化はどこにいく:地球Bに生きる?」(PDFダウンロード可)