第1回
「多様性とは何か」
※ 終了いたしました。
登壇者(敬称略):
河村正二 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻 教授
蜂須賀知理 東京大学 大学院情報学環・学際情報学府 講師
コーディネータ:
福永真弓 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 社会文化環境学専攻 准教授
ご挨拶:
浅井潔 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 副研究科長(研究倫理担当) メディカル情報生命専攻 教授
グラフィックレコーディング:
グラフィックカタリスト・ビオトープ (松本花澄 / 佐久間彩記)
FUKUNAGA Mayumi
東京大学
大学院新領域創成科学研究科
社会文化環境学専攻 准教授
環境倫理・環境社会学
浅井 潔
ASAI Kiyoshi
東京大学
大学院新領域創成科学研究科
副研究科長(研究倫理担当)
メディカル情報生命専攻 教授
生命科学情報群・ゲノム情報解析分野
プログラム
15:00 オープニング挨拶 :浅井潔 先生
プロローグ: 福永真弓 先生
お話① :河村正二 先生
お話② :蜂須賀知理 先生
対談 :河村正二 先生 x 蜂須賀知理 先生
(コーディネータ 福永真弓)
第2回に向けて :福永真弓 先生
17:00 終了
多様性を尊重しよう。多様性のある社会をつくろう。
現代社会において多様性は、異なる多くの人間やモノの集まりという意味を超え、善なるものであるという規範的価値になった。実際に、国籍や人種、性別、年齢から、価値観や宗教など、異なる人々が相互にその多様性を尊重し、共存することは、基本的人権の一部を構成する概念となっている。
しかし、多様性を尊重することも、多様性のある社会をつくることも簡単ではない。多様性を尊重しよう、という言葉の裏側には、多様性が尊重されてこなかった、多様であることがそもそも不可視化されてきた、という事実がある。異なる者として彼我を隔てる境界線は、正常と逸脱、伝統とそれ以外、共同体の内側と外側を隔てる境界線ともなり、個人や集団を排除し、多様性の実現を阻む障壁となってきた。多様性を尊重する・多様性のある社会をつくるためには、こうした境界線や障壁について問い直し、多様であるとは何を意味するのかについて考え続けることが必要になる。そして、これまで共存しえなかった異なる者たちがいかに共存しうるのか、その方法を具体的に模索することが求められる。ここに多様性のある社会をつくる難しさがあり、挑戦がある。
多様性とは何か。どのような取り組みが、多様性を尊重する社会をつくることになるのか。想像×科学×倫理2022の第一回目は、一見、隔たった研究領域にいる二人の研究者の対話から、これら多様性をめぐる問いに向き合おう。
一人は、生物の進化について研究を続けてきた河村正二先生(新領域・先端生命科学専攻)である。周囲の他の生命や環境との関係性のなかでこそ、生命の多様さは育まれ、進化という出来事はおこる。河村先生は、色覚をはじめとする感覚から進化について探りながら、進化と多様性について深い思考を社会にもたらし、同時に率直に現代社会に問いかけてきた。いわく、霊長類までに至る進化の道は、多様性駆動型の深化の道だった。しかし、ヒトは、その社会の仕組みは、わたしたちの多様性を阻み、歪曲する仕組みになっているのではないか、というのだ。
もう一人は、人間工学を通じて「学び」のメカニズム解明と新しい手法の開発を行っている、蜂須賀知理先生(情報学環)である。蜂須賀先生は、人の生理・心理状態をセンシングし、その内容を多角的に評価した上で、人に効率的にフィードバックするシステム開発を行ってきた。人間の多様性を育む上で、知覚・運動・行動の非意識的領域に作用する科学技術は、どのような可能性をもつのだろうか、という問いがその研究背景にある。そこで目指される多様性とはどのようなものだろうか。
二人の研究の交差点には、多様性に関する根本的な問いが横たわっている。わたしたちは何を多様性だと捉えてきたのか。そして、多様性を育むために、社会はどうあるべきなのか。そして、科学技術はこれらの問いの模索にどう貢献できるのか。刺激的な対話を待たれたい。
グラフィックレコーディング
※ 当日実際に描かれたグラフィックレコーディングです。詳細はこちらのページ をご覧ください。
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録画公開:
ワークショップ当日の撮影配信動画をこちらで公開しています。:
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